大正初期の猿橋絵図

  水嶋義雄氏作成の「大正初期の猿橋六町の町並図」(水越孝之氏所蔵)を見せていただいた。

  水嶋義雄氏(松葉地区に居住、昭和40年代にはテーラーをやっていた)が平成10年頃作成した絵図で、大正7年頃とある。
  おそらく別に大正時代の絵図を持っており、これに自身の記憶を加えて作成したものと見える。

     猿橋6町の家並図(町名をクリックするとその家並図が現れます。)

                       霞町         東町
    
           小柳町           寿町      仲町          横町

  

 この絵図の特長


  各家の商売、当主の名が記されているのは当然であるが、各家の子供の名も記入してある。
  例えば横町絵図では、昭和30年代には大黒屋旅館があったあたりに「一杉建具店」がある。


 この家には男6人、女7人、計13人の子供がいたが、この絵図にはそのうち早世、養子を除く10人全員の名前が書かれている。
     長女 はな (明治31年 1888) *
     次女 つや (明治32年 1889) 早世
     三女 もと (明治33年 1900) *
     長男 孝正 (明治35年 1902) *
     四女 国江 (明治38年 1905) *
     次男 富次郎(明治40年 1907)      
     三男 秀雄 (明治43年 1910)
 *
     四男 勇四郎(大正 元年 1912) 早世
     五女 美江 (大正 2年 1914) *
     六女 とよ (大正 3年 1915) *
     五男 清  (大正 5年 1016) 養子
     七女 てる (大正 7年 1918) *
     六男 昌義 (大正10年 1921) *

 
何故、「もっちゃん」と「おくう」だけ親しげな呼び名で書かれているのだろう。
 
 この絵図の作者水嶋翁は同世代かな?と思ったが、
「もっちゃん」の本名は「もと」、明治33年(1900)年生れ、
 「おくう」の本名「国江」、明治38年(1905)生れであり、それぞれ、平成10年には98才。93才となっている。
 (もちろん実際にはもっと前に死亡している。)
 
 水嶋翁は、平成10年に85翁と署名してあるので、大正2年(1913)頃の生れ。「もっちゃん」は13才、「おくう」は8才も上であり、同世代とはいえない。

 それにしても、各家の子供の名を良く正確に記憶していたものである。