時刻表(1)

 
 最近、ネットオークションで1965年(昭和40年)の時刻表を入手した。

 若い頃、時刻表が大好きで、旅をする毎に荷物になるのも厭わず「大時刻表」を持ち歩いたものだ。

 少し後になるが、城廻りの趣味があったので、時刻表を綿密に調べ、どこの駅で下りて城を見て、何時の列車で次の城へ、という旅行を何回もした。
 寝袋を持って行き、終電車で着いた駅で眠り、始発で次の目的地に向かった事もある。
 なけなしの金で駅前木賃宿に泊まったら、あまりにみすぼらしい姿だったのか、宿から警察に通報され、職務質問を受けた事もある。


 この1960年の時刻表を見て驚いたのは、良く利用した周遊券の安さだ。

   東京から 北海道周遊券 18日間 6600円
        東北周遊券  12日間 3600円
        山陰周遊券  16日間 4400円
        四国周遊券  16日間 4600円
        九州周遊券  20日間 6200円
 当時の収入も少なかったから、それなりの値段ではあったのだろう。

 ついでにこの年の乗車料金を調べてみると、

  猿橋ー大月   10円  学割定期 180円
  猿橋ー甲府  140円       780円  
  猿橋ー八王子 130円       710円
  猿橋ー東京  240円 

 高校入学の時、もしも何かあったり、定期券をなくしても猿橋までは帰ってこれるようにと、母親が汽車賃140円だけ学生服のポケットに縫い込んでくれた事を思い出す。(その時は120円だった気がする)
 苦しい家計の中、大月より何倍もの交通費を両親に負担させてしまった。

 ところで、猿橋からは甲府へ行くより八王子へ行く方が料金も安いし、所要時間も短かった。
 あの頃、大月市の人間が県都甲府でなく八王子、その先に東京を見ていたのも、むべなるかな、である。

 そういえば、あのころ普及し始めたテレビ放送も、甲府の放送は入らず、東京の放送ばかりだった。 今はどうだろうか? 県内の一体性は出来ているのだろうか?

 この時刻表で、又昔のように誌上旅行をしてみたい。